SDGs(持続可能な開発目標)の目標達成期限である2030年まであと10年。


今般の新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大は、SDGsの取り組みに影響を及ぼしつつある。外出自粛が大気汚染や水質の改善につながり、SDGsの「目標13:気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献することとなったほか、働き方の変化によるワークライフバランスの改善がみられ、SDGsの「目標8:働きがいも経済成長も」の達成への貢献となっている。一方で、新型コロナを背景に世界中で職を失う人が急増し、これが逆にSDGsの目標8の達成に支障をきたしている。さらに、国連児童基金(UNICEF)などの新しい分析結果[1]によると、新型コロナが経済に及ぼした影響により、2020年末までに貧困下の子どもが15%増加し、最大8,600万人の子どもが新たなに貧困状態に陥ることが予想されている。ほかにも、学校の休校が続いたなか、オンライン授業ができない国も多く、世界中で教育の機会が失われている。こういったSDGsの目標である貧困や教育に関する取り組みが大きく後退している。


さて、日本のSDGs達成状況はどうなっているのだろうか。


2020年SDGs達成度ランキング[2]での日本の順位は166カ国中17位と、2019年の15位から低下した。G7のなかではフランス、ドイツ、イギリスに次ぐ4位、アジアでは1位を維持しているものの、世界での順位は徐々に低下する傾向にある。


同発表によると、SDGsで掲げられている17目標のうち、日本の『最も重要な課題』は「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」「目標13:気候変動に具体的な対策を」「目標14:海の豊かさを守ろう」「目標15:陸の豊かさも守ろう」「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」である。なかでも、女性国会議員や男女の賃金格差、CO2の排出量、海の健全性、絶滅危惧種の保護と絶滅防止、国際譲許的融資(International Concessional Public Finance)に関する指標が最も重要な課題とされている。


他方、帝国データバンクが2020年6月に実施した「SDGsに関する企業の意識調査」によると、企業が現在力を入れて取り組んでいるSDGsの目標に関して、「目標15:陸の豊かさも守ろう」が4.9%、「目標14:海の豊かさを守ろう」が5.0%と1桁台にとどまっており、下位3項目に入っていた。特に目標15は今後最も取り組みたい項目としての割合が最も低かった。これらを踏まえると、最も重要な課題とされているにもかかわらず国内企業の取り組む割合が低い陸域や海洋に関する目標は今の日本にとって達成することが最も難しい目標であると考えられる。


米非営利団体(NPO)によれば、今のままだとSDGs達成は2030年ではなく、2092年になる見通しであり、これを受け各国政府は危機感をつのらせているといえる。しかし、国家レベルの取り組みのみならず、企業の取り組みや個人レベルの意識変革もSDGs達成への原動力となる。企業は経営リスクを回避して「持続可能性」を追求し、個人は自分たちの子孫により良い世界を残すため、SDGsの進展に期待が高まっているこの機会に少しでも歩みを進めるべきであろう。


[1]国連児童基金(UNICEF)ニュースリリース「新型コロナウイルス貧困層の子ども8,600万人増加のおそれ」(2020年5月28日)

[2]The Sustainable Development Solutions Network (SDSN), Sustainable Development Report 2020(2020年6月発表)

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
世界のSDGs達成度ランキングからみる日本の現状

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日本は、水道水に恵まれた国である。水道の蛇口を捻ればそのまま水が飲めるという生活は一見当たり前のように感じてしまうが、実はこれは世界でも珍しいということをご存じだろうか。国土交通省によると、水道水をそのまま飲める国は日本を含めて世界に8カ国しかなく、そのまま飲めるが注意が必要な国も21カ国にとどまっている[1]。我々が日々使用できている水道水は、大変ありがたいものなのだ。


しかし、このきれいな水は、意外にも大きな問題に直面している。厚生労働省によると、年間2万件を超える水道管の漏水・破損事故が起こっている[2]。これは、高度経済成長期に整備された水道管の老朽化が一気に到来していることが要因である。1960年には53.4%だった水道普及率は、1965年には69.4%、1970年には80.8%となり、10年間で27.4ポイントも増加している[3]。この期間に急速に普及した水道管の更新時期が、現在になって訪れた格好だ。


さらに同資料をみると、水道管の法定耐用年数として定められた40年を超えている割合(老朽化率)は14.8%で年々上昇の一途をたどっている。一方で、水道管の更新率0.75%は、年々低下し近年は横ばいで推移しており、先に述べた事故件数も頷ける。さらに、今後20年間に更新が必要な水道管は日本全体の23%を占めている。しかし、これらを更新するには年1.14%の更新率が必要であると推計されているが、現状ではその更新率に及んでいない。加えて、全ての水道管を更新するには130年かかるとも言われている。このような背景は、水道管の老朽化問題の現状を裏付けているといえよう。


こうした現状に対して、政府は2018年に水道法を改正し、水道事業に関して官民連携を推進した。さまざまな条件はあるものの、水道施設の所有権を国や行政機関に残したまま、公共施設等運営権を民間企業に設定できる仕組みを導入するなど、民間企業も含めた水道事業の活性化を促したのである。


ただ、制度的な問題以前に大きな課題があると感じる。それは水道事業の職員数の減少だ。水道管の老朽化率は上昇し事故件数も顕著な現状があるにも関わらず、1980年には約7万6,000人とピークだった職員数は、2018年には4万5,000人を下回るなど減少するばかりだ。このように職員数の減少とともに水道管の老朽化率が上昇するなか、現状に歯止めをかけるために、相応の職員数の増加が必要となるだろう。他にもさまざまな課題があるものの、水道管の漏水・破損事故が日常でいつ起きてもおかしくない現状を前に、早急な対策が急がれる。


[1]国土交通省「令和元年度 日本の水資源の現況について」

[2]厚生労働省「水道の現状と基盤の強化について」

[3]厚生労働省「水道の基本統計」同統計によると2018年時点で水道普及率は98.0%

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
恵まれている日本の水道水は意外にも深刻?

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2020年9月30日、国連で「生物多様性サミット」がオンラインで開催された。森林減少や種の絶滅といった生物多様性の損失を防ぐための世界各国の首脳級による会合である。この会合で国連のグテレス事務総長は、「新型コロナウイルスなど動物由来の感染症が広がるのは、人間が自然を損ない生態系との間のバランスを崩したからだ」と指摘。


また「今後、新型コロナの問題が収束したとしても、現在の経済のあり方に根本的な問題があるため、次々と新しい感染症が生じる可能性は高い」と感染症の専門家も指摘している。


国連環境計画(UNEP)は、パリ協定[1]の目標達成には毎年7.6%のCO2排出削減が必要としているが、2020年のCO2排出量は、新型コロナウイルスの感染拡大により世界中でロックダウンなどの措置がとられたため、前年比で8%(約26億トン)減少すると予想されている。しかし、この数値は新型コロナウイルスによる経済的制限によるものであることからも、年7.6%の削減を実現するには、根本的な変革がなければ容易でないことがわかる。


そのようななか、SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定の達成に向けて、「グリーン・リカバリー(緑の回復)」という動きが欧州を中心に広まっている。「グリーン・リカバリー」とは新型コロナウイルスからの経済復興にあたり、この機会をきっかけに脱炭素に向けた気候変動対策をさらに推し進め、生態系や生物多様性の保全を通じて災害や感染症などに対してもより回復力のある社会・経済モデルへと移行していく考え方のことである。


京都大学名誉教授の松下和夫氏は、「気候変動による被害はコロナ危機の被害より甚大でまた長期に及ぶと予測しており、新型コロナによる危機から学び、気候変動による被害を防ぐため、脱炭素で自然災害などに対して回復力や抵抗力のある社会への早期移行が必要」と提言している。


日本でも、2020年8月、東京の真夏日が観測史上最多を記録するなど、気候変動の顕在化が実感され始めており、グリーン・リカバリーへの取り組みは重要な課題と言えるだろう。
また日本は、世界のCO2排出量ランキング(2019)では第5位となっており、その点からも日本の果たす役割は大きいと言える。


より良い方向への転換。本来人間には、そのような力が備わっているはずだ。「グリーン・リカバリー」の考え方が日本でも定着し浸透すると期待も膨らむ。


[1]2015年12月、第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとしてパリ協定が採択された

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
「グリーン・リカバリー」という考え方

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2020年9月下旬、河野行政改革担当大臣は行政手続きでの押印を原則廃止するよう各省庁に要請した。同大臣は、自身のTwitterでも「銀行印が必要なものや法律で押印が定められているものなど、検討対象は若干あるが、大半は廃止が可能」との見方を明らかにしており、行政手続きの「脱ハンコ」を推進しようとしている。


行政に変化が生じれば、当然民間企業も変化を迫られる。以前、当コラム「デジタル化に潜む落とし穴」でも述べたが、デジタル化の推進を行う企業であっても、社内稟議が押印というアナログな社内プロセスはいまだ多い。また、新型コロナウイルスの影響からテレワークが推奨されている現在、書類への押印のため出社を余儀なくされるビジネスパーソンもいる。こういった状況の改善もみえてくるのではないだろうか。


他方で、帝国データバンクが公表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年8月)」では、新型コロナウイルスを契機として、デジタル施策を取り組んでいる企業は75.5%となった。そのうち、具体的な取り組み施策は、オンライン会議設備やリモート設備の導入が半数以上の企業で取り組んでいるなか、「電子承認(電子印鑑)の導入」は15.3%であった。徐々にではあるが、押印からの脱却に兆しがみえつつある。

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私自身、今後、必要な押印と不必要な押印が明確になり「脱ハンコ」が推進されることに期待している。押印による時間のロスなどがなくなり、手続きが簡略化されれば、業務スピードは向上するであろう。


一方で、一世一代の出来事には、押印は文化として残してほしいとも思う。婚姻届などの人生の節目の出来事に対しては必要となろう。また、実印を押す際の緊張感など一度は経験したほうが良いのかもしれない。


全日本印章業協会によると、日本で今日のような実印や認印が広く普及するようになったのは、明治初期とのこと。明治新政府が法的に実印の重要性を確立させたことにより、約150年にわたる社会的慣習が続いている。現在、さまざまな議論を呼んでいる「脱ハンコ」、賛否はあろうが、新たなハンコ文化の行く末を注視したい。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
「脱ハンコ」は、新たなハンコ文化の始まりか

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「3K」と聞けば、どのような意味を想像するだろうか。あらゆる場面で通称や略称として使われており、想像するものは人によってさまざまだろう。ここでは、人材の育成や定着を目指す意味で使われている「3K」をご紹介したい。


ここで言う「3K」とは、3項目の頭文字の総称を指す。それぞれの正体を明かすと、
【 期待する → 機会を与える → 鍛える 】というサイクルのことである。


そう聞けば、おおよそは納得するだろう。もう既に実践しているという声もありそうだ。部下がスキルを磨いていく以外に、精神面を充実させる意味においても、この「3K」が大切になる。一見、至極当然のように感じるかもしれないが、上司に求められるこのサイクルは意外に抜け落ちてしまっていることもありうる。怖いのは、抜け落ちてもなかなか気づくことができないことだ。精神的な充実は数値などでは測れず、気づかぬうちに部下は意欲を失い、成績の低下や職場環境の悪化、さらには退職を招きかねない。


その怖さはさまざまな角度から表現できるが、その一つ「アンコンシャス・バイアス」は、「3K」に大きく関わる。アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の偏見」と訳される。事例として最も多く取り上げられるのは、女性社員への接し方だろう。上司の自覚がない部分で女性に対して固定観念を持ち、「いつかライフイベントで退職してしまうから」と考え「3K」の一つ目である【期待する】から遠ざかり、「女性は家庭を優先するから、大事な仕事は任さないでおこう」と考え【機会を与える】が失われていく。そして、【鍛える】だけが独り歩きしてしまい、部下にとってはただ厳しい環境となり、仕事にやりがいや面白さを持たなくなってしまう。また、例にあげた女性に対するアンコンシャス・バイアスは、女性活躍推進の阻害要因であり、一種のステレオタイプ脅威だと指摘する意見もある。


「3K」のなかで特に重要となるものは、部下への【期待する】である。本コラムでは女性へのアンコンシャス・バイアスを一例としてあげたが、性別や年齢を問わず、すべての部下に対して当てはまる。例えば盲点となるのは、勤務歴が比較的長い社員。自社の戦力として育って以降、【鍛える】一辺倒になってはいないだろうか。もちろん年齢を重ね経験を積むにつれて責任も厳しさも増すが、そのようななかでも部下が働きがいを持てるように上司が意識をすることが肝要だろう。何より、部下への気遣いや声掛けなど、普段の何気ない行動こそ、精神的充実の礎だ。人材の育成や定着には、日ごろの些細な行動から始まる。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
人材育成で上司に求められる『3K』

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2015〜2019年における世界の平均気温は1850年に観測を始めて以来どの5年間よりも気温が高く[1]、オーストラリアで大規模な森林火災が発生するなど、気象変動の深刻化が進んでいる。


このような状況下、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」が2020年から本格的な運用段階に入った。また、SDGs(持続可能な開発目標)にも「気候変動に具体的な対策を」といった目標が制定されており、世界で気象変動への対策が加速している。


各国が実施している対策として、石油や石炭などといった化石燃料の代わりに再生可能エネルギーや原子力など、CO2排出量の少ないエネルギーの導入強化が挙げられている。なかでも、自動車業界を驚かせているのは、各国・地域におけるガソリン車・ディーゼル車の販売禁止の動きだ。フランス政府は2040年にすべてのガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止すると発表し、世界最大の自動車市場である中国は2035年を目処に新車で販売するすべての車をEV(電気自動車)などのNEV(新エネルギー車)やガソリンと電気を併用するHV(ハイブリッド車)にする方針を示している。特に英国政府は、ガソリン車・ディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止とするうえに、ハイブリッド車に関しても排出ゼロの規制をクリアしたもの以外は35年までに販売を禁止すると表明した。このような動きは電気自動車の普及を後押しすることになる。日本の乗用車は、国内生産だけで考えても、2019年においては半数超が輸出向けであり[2]、海外市場が非常に重要であるといえる。ガソリン車とハイブリッド車が主流である日本は、海外市場も含め自動車業界の変化にあらゆる対応が必要となってくるだろう。


他方、SDGsの17目標のうち、気象変動に関する目標が最も重要な課題である日本には、国際社会からその対応への期待が高まっている。そのようななか、日本政府はガソリン車などの販売禁止の意向を示してはいないが、菅総理大臣は2020年10月26日の臨時国会の所信表明で、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、『2050年カーボンニュートラル』を目指すと宣言し、気象変動に関する動きが加速しそうだ。


近年、船舶分野や航空分野でも電動化の研究開発が促進されており、気象危機時代を生きるためにあらゆる業界に革新が起きている。幅広い事業が変化に上手く対応できるために、政府は『2050年カーボンニュートラル』を実現するための具体策を表明することが求められよう。さらに、それを支える政府の民間企業および消費者に向けたさまざまな支援策にも注目したい。


[1] WMO(世界気象機関)
https://library.wmo.int/doc_num.php?explnum_id=9936

[2] 日本自動車工業会 四輪車輸出台数および四輪車生産台数
http://www.jama.or.jp/industry/four_wheeled/index.html

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
企業が「気象危機」の時代を生きるために

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今だかつてない年となった2020年も、慌ただしい師走が始まろうとしている。


日本には西暦のほかに、「昭和」や「令和」などの元号や「師走」や「睦月」などの和風月名と、年月を表現する言葉が多数ある。また、日本には「〇〇の日」という記念日もたくさん存在する。「こどもの日」や「勤労感謝の日」などのように法律で国民の祝日として定められている日もあれば、歴史的な由来やゴロを合わせて物事の推奨や普及を目的に作られた日もある。11月22日は「いい夫婦の日」として最近定着しているが、11月23日は「いいふみ(文)の日」、11月26日は「いい風呂の日」など、調べてみると11月は「いい」を付けた記念日がたくさん並んでいた。


世界でも国際デーと呼ばれる記念日が多数ある。国際機関によって定められ、特定の事項に対して特に重点的問題解決を全世界の団体・個人に呼びかけるための日である。なかでも、私は11月20日の「世界こどもの日」に関するニュースに、毎年目が留まる。


「世界こどもの日」は1954年、世界の子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的として、国連によって制定された。その後、1989年の11月20日には、すべての子どもの人権を保障する初めての国際条約『子どもの権利条約』が国連総会で採択され、世界中で子どもの保護への取り組みが進むこととなる。


日本ユニセフ協会が発行している「世界子供白書2019年 子どもたちの食と栄養」では、世界の5歳未満児の少なくとも3人に1人に相当する2億人が、栄養不足や過体重であると報告された。また生後6カ月から2歳までの子どものおよそ3人に2人が、この時期の子どもの身体や脳の成長に必要な食べ物を得ることができておらず、脳の発達の遅れ、学習の遅れ、免疫力の低下、感染症の増加などのリスクに晒されている。飢餓などの栄養不足と同時に、「超加工食品」を背景とした肥満などの過体重による病も問題になっているのが現実であった。


帝国データバンクの調査(「SDGs に関する企業の意識調査」)によると、SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられている17目標のうち現在力を入れて取り組んでいる項目では、「8.働きがいも経済成長も」が 27.1%で最も高かった一方で、「1.貧困をなくそう」(5.5%)や「2.飢餓をゼロに」(3.1%)など、企業活動との結びつきが難しい項目については低位に留まっている。


世界の先進国では「5G」などの様々な技術が発展を遂げている一方で、干ばつによる飢餓や栄養不足で生命の危険にある子供たちが世界中にいることを、心に留めておきたい。食品ロス削減などは身近にできる大きな一歩ではないだろうか。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
「世界こどもの日」に思うこと

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新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の影響で在宅勤務を取り入れる企業が一段と増加した。帝国データバンクが2020年9月に実施した調査[1]によれば、企業の33.9%が新型コロナの感染拡大を機に在宅勤務を導入しており、新型コロナの感染拡大前から導入済の企業(5.3%)を含めると、現在在宅勤務を導入している企業は39.2%と、4割近く占めている。


在宅勤務は、新型コロナなど感染症の感染拡大を防止するのみならず、労働者の通勤による疲労の軽減などさまざまな利点があげられる。しかし意外なことに、在宅勤務などテレワークにより、労働者は心身の極度の疲労によりエネルギーが奪い取られ仕事などへの意欲を失う、いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に陥るリスクが高まる恐れがある。


オムロンヘルスケアが1,000人の労働者を対象に実施した調査[2]によると、新型コロナ発生後のテレワークで31%の人が肩こりや精神的なストレスなどを感じている。


また、米マイクロソフトが米国や日本など8カ国で勤務している約6,000人の労働者を対象に実施した調査[3]によれば、リモートワーカーを含めて労働者の30%超は新型コロナの感染拡大前よりも仕事における「燃え尽き」を感じるようになったという結果が明らかになった。国別では、日本においては約2割、米国においては約3割の人がそう感じているのである。


同調査を詳細にみると、リモートワーカーにとっての最大のストレス要因は「仕事と私生活を切り離すことが困難」であった。その結果として労働者は昼休憩や夜遅くまで仕事をするなど、長時間労働につながり、疲労が蓄積していたと考えられる。実際に、NBER(全米経済研究所)[4]が北米、ヨーロッパ、中東の16の大都市圏で勤務している約300万人の労働者のロックダウン時におけるリモート会議や電子メールのデータを分析したところ、対象者の一日の平均労働時間は新型コロナの感染拡大前の時期より48.5分増加したことが分かった。さらに一人当たりが参加する会議の数は、感染拡大前より12.9%増加したことも明らかになった。


在宅勤務で燃え尽き症候群にかからないために、我々はどうすれば良いのだろうか?よく言われているのは、仕事のスペースを生活しているところから区切ることや一日の始業と終業を明確にすることである。また、休憩時間も含め勤務時間外は仕事関係のメールや電話のやり取りをしないことも重要だと考えられる。ほかにも、我々が知らないうちに「仕事とプライベートを切り替える時間」となっている”通勤”の代わりに、ちょっとした散歩に出かけて気持ちを入れ替えることもなかなか良い策かもしれない。


[1] 帝国データバンク 『新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年9月)』

[2] オムロンヘルスケア 『【テレワークとなった働き世代1,000人へ緊急アンケート】 新型コロナウイルスによる、働き方・暮らしの変化により 「肩こり」「精神的ストレス」などの身体的不調を実感』2020年4月

[3]Microsoft Work Trend Index report September 2020

[4] NBER 『Collaborating During Coronavirus :The Impact of COVID-19 on the Nature of Work』July 2020

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
在宅勤務に潜む「落とし穴」

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帝国データバンクが1月8日に発表した「TDB景気動向調査」(2020年12月調査)では、景気DIは7カ月ぶりに減少し35.0となった。新型コロナウイルスの感染再拡大で個人消費が下押しされ、『サービス』や『小売』などの消費関連の業界を中心に持ち直しの傾向がストップした。


特に、観光施策の停止などの影響を受けた「旅館・ホテル」(11.9、前月比16.9ポイント減)は、前月からの減少幅が、2020年2月(同15.3ポイント減)および3月(同16.2ポイント減)を超え、調査開始以降最大となった。また、「飲食店」(同5.7ポイント減)も大幅な減少となり、個人消費関連の業種は再び厳しい状況となっている。1月7日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県において緊急事態宣言が発出され、今後も個人消費の落ち込みが懸念される。


他方、『製造』の景気DIは前月から0.6ポイント増の33.9となった。判断の分かれ目となる50を大きく下回る水準であるものの、2020年6月以降7カ月連続の増加となり、回復傾向が続いている。


『製造』の設備稼働率DIは40.2(前月比1.0ポイント増)となり、2020年2月(42.4)以来10カ月ぶりに40台まで上昇した。生産・出荷量DI(37.8、同0.7ポイント増)も4カ月連続の増加となるなど、生産面での回復傾向がみられる。また、業種別の景気DIは自動車部品製造などが含まれる「輸送用機械・器具製造」(40.1、同3.8ポイント増)が大幅に増加。「機械製造」(33.5、同1.8ポイント増)も、半導体製造装置製造が堅調に推移している。


製造業の持ち直しが続いている要因としては、中国における製造業の回復が大きいだろう。中国国家統計局が発表した2020年12月の製造業PMI(季節調整値)は51.9となり、11月からは0.2ポイントの減少となったものの、経済全体の拡大・縮小を測る目安である50を10カ月連続で上回った。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつある中国では、経済の拡大局面が続いているとみられる。


しかし、中国を中心に製造業が回復していく一方で、今後の懸念材料も浮き彫りになってきた。鉄スクラップや鋼材など原材料価格の高騰と、海外との輸出・輸入に用いる輸送用コンテナの不足である。


鉄スクラップや鋼材などの原材料は、2020年前半、製造各社が新型コロナウイルスの影響で設備の稼働停止や、生産・在庫を減らしていたなか、中国の生産が急速に回復したことで、非常に需給がひっ迫している。関東鉄源協同組合の調査によると、2020年12月の鉄スクラップ輸出入札の平均落札価格は38,710円となり、11月から8,105円上昇した。TDB景気動向調査においても、鉄スクラップ卸売が含まれる「再生資源卸売」の販売単価DIは66.2(前月比8.5ポイント増)と高水準であり、2020年8月以降5カ月連続で増加している。原材料価格の高騰や需給のひっ迫が長引けば、日本国内の製造業への影響も避けられないだろう。


さらに、ここにきて大きな問題になってきているのが、輸送用の空コンテナの不足である。中国からの輸出急増によりアジアを中心にコンテナが不足し、輸送スケジュールが遅れてきている。また、コンテナの不足にともない、海上運賃も大きく高騰している。TDB景気動向調査に寄せられた企業の声でも、コンテナ不足による影響を受けているとする企業は、製造業、卸売業、運送業など、業界・業種問わず広がってきている。


原材料価格の高騰やコンテナの不足といった供給サイドへの制約は、回復傾向にある製造業に影を落としている。製造業の生産面や収益面への影響が、今後懸念される。

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この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
回復が続く製造業に影を落とす原材料価格の高騰とコンテナ不足

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新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大により、サプライチェーン寸断のリスクが顕在化した。そのリスクを抑えようと以前当コラム(「新型コロナウイルスで加速する『国内回帰』や『脱中国』の動き」)で取り上げたように、日本政府は生産拠点の集中度が高い製品や国民が健康的に生活を営む上で重要な製品を手がける事業に向けて、生産拠点の国内回帰およびASEANなど第3国への多元化を促す補助金の公募を行った。その第1弾として、生産拠点を国内に回帰させる事業の申請数は90件となり、うち57件(約574億円)の事業が採択された。


また、2020年11月20日の経済産業省の発表[1]によると、2020年5月22日から7月22日の締切りまでに新たに1,670件の応募があり、金額は約1兆7,640億円と、補助金予定額1,600億円の11倍となった。最終的には146件(約2,478億円)の事業が採択された。申し込みの競争倍率が高まった原因として、書類の準備などで第1弾での応募に間に合わない企業があったと考えられる。ほかにも新型コロナの感染拡大が予想以上に長引き、収束の見通しがなかなかつかないため、企業が対策に踏み切ったということも考えられる。さらに、国内生産へシフトする障害となり得る人手不足問題は、新型コロナの影響にともなう業務量の減少で緩和したことも一因となったのではないだろうか。


しかしながら、生産拠点を国内に回帰させても、感染症や自然災害など生産活動の支障となるさまざまなリスクは潜んでいる。加えて、少子高齢社会である日本において、新型コロナが収束した後には、現在解消傾向にある人手不足問題が再び深刻化することも考えられる。このような問題の解決策として、生産拠点を国内に回帰させるだけではなく、拠点を各国に上手く分散・再配置することも一案である。


そこで、生産拠点の多元化に関して、日系企業はどのような動きをしているのであろうか。ジェトロの調査[2]によると、今後1~2年の事業展開の方向性について、「第三国(地域)へ移転・撤退」と回答した企業の割合は1.2%と、2019年調査(0.6%)から0.6ポイントの微増にとどまった。なかでも、中国進出企業においては1.0%で、2019年調査より0.1ポイント増とほぼ横ばいだった。加えて、ASEANなど第3国の子会社などによる製造設備の新設・増設する事業に向けた補助金への応募数は、第1弾で124件、第2弾で155件[3]と微増ながら上昇したことにより、生産拠点の多元化の動きは少しずつながらも動いていることが見受けられる。さらに、既述の国内回帰を促す補助金制度で採択された企業の多くは生産拠点を完全にシフトするというよりも、「分散」を図っているという見方もある。特に中国は供給面のみならず、需要面においても多くの企業にとって重要な市場であるため、簡単には撤退できないと言われている。


サプライチェーン再編の重要性が高まるなか、政府は既述の補助金制度を存続させるために2020年度第3次補正予算に2,225億円を盛り込み、新たに公募を行っている[4]。さまざまな判断を求められている企業は、あらゆるリスクを考慮に入れながら、事業にとって最善の対策に挑むことが必要不可欠である。


[1] 経済産業省 『サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金の採択事業が決定されました』(2020年11月20日)
[2] ジェトロ 『2020年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)』(2020年12月23日)
[3] ジェトロ 『海外サプライチェーン多元化等支援事業』
[4] 経済産業省 『令和2年度第3次補正予算「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」に係る事務局の公募について』(2021年1月12日)

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
生産拠点の国内回帰・多元化の動きは続くか

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2020年9月に菅首相が就任して以降、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」といった、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという宣言に基づいた動きが急に活発になった。2020年12月にはグリーン成長戦略を打ち出し、より一層大々的に目標を掲げている。


しかし、企業の反応は芳しくない実態があった。帝国データバンクの調査[1]では、上記の2050年目標に対して達成可能と考えている企業は15.8%にとどまり、「達成は困難」「達成できない」と慎重に考えている企業は6割超にのぼった。集まった企業の声をみると、「言うは易く行うは難しで、具体的な計画と目標が分からない」(し尿収集運搬、石川県)など、目標に懐疑的な意見が多く寄せられている。


こうした動向は、「脱炭素ウォッシュ」ともいえる。この「○○ウォッシュ」とは、一見良いことを打ち出しているのに実はマイナスを生み出していたり批判されたりしてしまうことを指す。いわゆる「合成の誤謬」とも近い表現だ。日本は、過去に国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)において、地球温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」を2度も受賞しており、世界各国からは少々冷ややかな目で見られているということも2050年目標を早急に推し進める要因になったとみられる。しかし、それにしても政府の号令に企業側が置いていかれてしまい、温度差が生じてしまった。政府にとっては、企業に対してロードマップなどを通して道筋や取り組むメリットを示していくことが「はじめの一歩」となるだろう。


この「脱炭素ウォッシュ」は、企業においてもご用心だ。前述の調査[2]で、温室効果ガス排出抑制に対する取り組み課題について尋ねたところ、低水準ではあるものの「売上高の減少」や「ステークホルダーから理解が得られない」のような、むしろマイナスを生み出してしまうといった項目もあげられている。もちろん脱炭素を達成するには企業の取り組みは欠かせず、時には積極的な設備投資などリスクテイクも求められる。しかし、脱炭素への取り組みでもともとある魅力などを失ってしまっては、本末転倒になってしまう。


私としては、「2050年カーボンニュートラル」目標は将来的に必要不可欠であるものの、少々見切り発車だったように感じる。現在地と理想がわかっても、そのギャップを埋める方法がまだまだ浸透していない。急がば回れと言われるように、官民ともにこの課題を長期的に解決するには「一歩一歩、着実に」が共通認識として必要ではないだろうか。


[1] 帝国データバンク「温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査」2021年1月19日発表
[2] 同上

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
「脱炭素ウォッシュ」にご用心、官民にある温度差のワケとは

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2021年3月、東日本大震災から早10年。いま一度、減災・防災について考えてみたい。


「減災」という考え方は、阪神淡路大震災、東日本大震災を経て広く知れ渡った。この考え方は、防災基本計画(中央防災会議)でも、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図ることであると示されている。


減災・防災を考える上で、平時から社会インフラの機能維持は非常に重要である。特に災害時に日々の暮らしや経済活動を速やかに取り戻すため、交通ネットワークの確保は生命線とも言える。そのため、豪雨で橋が流された、地震の影響から土砂でトンネルが埋まったということがないように、日頃から保守や点検が必要になってくる。


しかしながら、日本で整備されている社会インフラは、高度経済成長期に集中的に整備されており、今後急速に老朽化することが懸念されている。


とりわけ、道路橋や水門・堰などの河川管理施設では今から12年後の2033年には6割超で建設から50年以上が経過すると予想されており、老朽化への対策は急務となっている。

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他方で、社会インフラのメンテナンスに関する市場規模は日本のGDPの約1%にあたる約5兆円と推定され、さらに世界規模でみると約40倍の200兆円規模とみられている。建設業界以外からの参入や新たな技術の研究など、ビジネスチャンスは拡がりつつある。


現在、多くの業界で新型コロナウイルスの影響を受けているが、建設業界では濃淡はあるものの比較的影響が小幅にとどまっている。とりわけ土木関連の業種は、近年の自然災害の復興や復旧事業を中心に良化している様子もうかがえる。


加えて今後、加速度的に増加する老朽化インフラのメンテナンス事業は、業界の景況感を左右する大きな柱となろう。


大規模な自然災害の発生後には、各地に大きな爪痕が残る。しかしながら、少しでも甚大な被害を防ぐため社会インフラの老朽化への対策について意識を持つことは、新たなビジネスの獲得だけでなく、減災・防災へとつながっていくはずだ。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
減災・防災からみる社会インフラの老朽化への気づき

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