人的資本の開示が国際的な流れとなっており、米国においては、2020年8月に上場企業に対して人的資本の開示を義務化する規制が追加され、2020年11月より順次、企業の人的資本の開示が始まっております。

今回は、人的資本の開示で先行する米国の開示状況の調査レポートの要点をご紹介致します。「人的資本」の情報開示の参考にしてみてください。

▼コーポレートガバナンスコードの改訂ポイントについては、下記のコラムで詳細に解説しています。

関連記事:コーポレートガバナンスコード改訂のポイント2021年版 〜「独立社外取締役」と「サステナビリティ」が重要テーマに〜

米国の人的資本の開示に関する規制改訂

米国においても、投資家からの人的資本の開示要請を背景に2020年8月26日、証券取引監視委員会(SEC)が、上場企業の人的資本の開示に関するRegulation S-Kを改訂することを公表しました。

改訂において第101項(c)の中に下記の文が追加され、上場企業は従来の従業員数に加えて、人的資本についての情報開示が必要となりました。

“(ii) A description of the registrant’s human capital resources, including the number of persons employed by the registrant, and any human capital measures or objectives that the registrant focuses on in managing the business (such as, depending on the nature of the registrant’s business and workforce, measures or objectives that address the development, attraction and retention of personnel).”
(訳) 登録者が雇用する人の数を含む登録者(上場企業等)の人的資本資源の説明、及び登録者が事業を経営する上で重視する人的資本の施策又は目的(例えば、登録者の事業および労働力の性質に応じて、人材開発、人材誘引および従業員の維持に対処する施策または目的など)

なお、人的資本の開示に関しては、具体的な開示項目についての明記されない原則主義が採用され、例としては、人材の開発、人材誘引および従業員の維持という3項目が示されるに留められております。また、「事業を経営する上で重視する」と記載がある通り、何を記載し何を記載しないかは、企業自身の判断に委ねられております。

日米の人的資本開示に関する規制比較

日米の人的資本開示に関する規制を比較すると、下表の通りです。人的資本の開示項目については、日米ともに企業の判断に委ねられている状況です。

規則原則/細則主義人的資本の定義人的資本の開示項目開示方法
日本CGコード原則主義
(Explain可)
定めず中核人材多様性(性別、外国人、中途)、育成方針、人的資本への投資などコーポレートガバナンス報告書
米国Regulation S-K 原則主義定めず例示3件Form 10-K

米国上場企業の人的資本の開示状況

米国の上場企業の人的資本の開示状況に関するレポートには、下記のレポートがあります。

調査会社レポートタイトル対象企業調査期間
FEIThe SEC’s New Human Capital Disclosures: Year 1S&P500対象企業約150社2020/11/8〜
2021/2/15
IntelligizeHuman Capital Disclosure Report: Learning on the JobS&P500対象企業427社2020/11/9〜
2021/3/5

FEI社レポートの内容(引用・要約)

①文章の長さ

人的資本に関する文章の平均的長さは1ページ。一方で1パラグラフで済ます企業もあれば、3ページにわたって記述する企業もある。

②定性的、定量的記述

多数派は文章による(定性的)記述を選択。一部の企業が文章の説明のために少数のデータ(定量的記述)を採用。約2/3の企業が、従業員数以外のデータを少なくとも一つ開示。
例としては、地域別従業員分布、フルタイムとパートタイム社員の人数、労働協約を結んでいる従業員比率、男女比率。その他、離職率、従業員エンゲージメントサーベイの結果、労働事故率などの従業員の安全に関わる事項。

③記述内容(記述数降順)

④総評

記述項目、及び記述方法に大きな差異が生じたのは、SECが原則主義を採用したため。今後投資家の批判と規制当局の見解表明により、開示内容の向上が見込まれる。
実際、2021年に入り投資家からのプレッシャーが一段と高まり、SECも広範なESG開示が優先事項であるとシグナルを送っているので、企業の対応が向上するのではないかと見ている。

Intelligize社レポートの内容(引用・要約)

Morgan Stanleyの人的情報公開メトリクス
Morgan Stanleyの人的情報公開メトリクス  
参照:https://www.freewritings.law/wp-content/uploads/sites/24/2021/05/igz_report_humancapitalmanagement_final_05.pdf

①開示形態と内容

下記3つの類型に分類される。

②人的資本の施策と目標

半数以上の10−Kにおいて、Regulation S-Kで人的資本の施策と目標として例示された下記3項目について記述されている。

上記3項目に共通する項目として離職率(turnover)について140社以上、後継者計画(Succession Planning)について200社以上が述べている。

③記述内容(記述数降順)

④総評

企業は、人的資本に関するデータを保有しているが、これまでのところ、Form10−Kにおいてデータを開示することに積極的な企業は極めて少数。これはSECが人的資本の開示に関して企業に裁量を与えているため。
そういった中、企業は、企業の評価に直結する主体的に多様性(Diversity) と健康(Health)の開示に集中していた。

コメント

前述のレポートの内容を見る限り、2020年11月から人的資本の開示を始めた米国上場企業の報告水準は、データ等に基づいた定量的記述を行う企業は少数に留まり、投資家、規制当局の期待水準を下回っているようです。

米国の上場企業としては、規制が原則主義であったことから、初期の報告は、ミニマムスタンダードを満たせばという考え方があったからかも知れませんが、今後は投資家、規制当局の圧力から開示水準の向上が促されていくのではという見解もあることから、人的資本の開示状況に関しては継続的に注視していく必要があります。

日本企業の人的資本の開示の今後について

日本企業は、2022年4月から導入される東京証券取引所の新市場区分であるプレミアム市場及びスタンダード市場への移行を選択した場合には、本年12月末までに、コーポレートガバナンス報告書にて、人的資本に関する2原則の表明が求められます。

既にCSR報告書、統合報告書等で人的資本に関する開示をしている場合には、その旨記載をすれば良いかと思われますが、昨今では、人的資本の開示に特化した国際標準規格(ISO30414)も公表されていることから、ISO30414に準拠した報告を検討するというのも一案と思われます。

特にISO30414は、人的資本の開示項目全てがデータに基づくものであることから、人的資本に関して定量的なデータを求める投資家の期待に応えることができる他、社内の人的資本マネジメントのツールとして活用することも出来るというメリットも備えております。

▼ISO30414についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、あわせてご覧ください

関連記事:ISO30414が注目される理由とは?企業への影響についても解説

当社では、企業様の人的資本開示にISO30414を活用したいというニーズに応えるため、コンサルティングメニューをご用意しておりますので、下記よりお気軽にご相談下さい。

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本記事は、弊社サービスコトラコンサル掲載記事を転載したものです。

【2021年最新版】米国企業の人的資本の情報開示状況

お役立ち動画

2021年6月11日のコーポレートガバナンス・コード改訂以降、新コードに対応した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」が開示されておりますので、開示事例をご紹介いたします。
[2021年8月12日更新: 事例1件追加(計20件掲載)]

2021コーポレートガバナンス・コード改訂概要

2021コーポレートガバナンス・コード改訂の概要

コーポレートガバナンス・コードの推移(各種情報に基づき当社にて作成)
コーポレートガバナンス・コードの推移(各種情報に基づき当社にて作成)

コーポレートガバナンス・コード改訂のポイント

主な変更点は下記3点です。

1. 取締役会の機能発揮
2. 企業の中核人材における多様性の確保 【補充原則2-4①】
3. サステナビリティを巡る課題への取組み 【補充原則3-1③】

2.の具体的内容:
・管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
・多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表
⇒中核人材の多様性

3.の具体的内容:
・サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示
・人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示
⇒人的資本への投資

▼2021年コーポレートガバナンス・コード改訂ポイントの詳細については、下記コラムをご参照ください。

関連記事:コーポレートガバナンス・コード改訂のポイント2021年版 〜「独立社外取締役」と「サステナビリティ」が重要テーマに〜

改訂後コーポレートガバナンス・コードに対応した開示事例
[2021年8月12日1件追加(計20件)]

以下、本コラム更新日時点で弊社にて確認した報告書の事例を、人的資本関連(「中核人材の多様性」「人的資本への投資」)を中心にご紹介いたします。

(7月14日追記)報告書の改訂対応率は0.78%
コーポレートガバナンス・コード改訂から1か月経過しました。現時点で改訂後コードに対応した報告書の開示数は、18報告書となります。この間に開示されたCG報告書は2,284報告書ですので、報告書における対応率は 18/2284=0.78% となります。各企業様の対応が進められている状況と思われます。
※数値については弊社調べによる

1.双日株式会社様

最終更新日:2021年6月18日
双日株式会社  証券コード:2768 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

・新コード対応83原則全て実施(Comply)
・新コード対応14原則全てにつき開示

新規項目の【補充原則2-4①】「中核人材の多様性」に関しては、報告書内にて2ページを使い詳細に説明されています。

・女性管理職については、2023年までに50%
・外国人については、2025年までに海外事業会社 CxO ポストの過半数超を外国人人材とする
・中途採用については、毎年の新規採用者数を現状の約 3 割程度を中途採用者としていく

など、具体的な目標数を示した明確な方針を打ち出しています。

さらに、同原則にて開示が要求されている「多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況」については、「ジョブ型新会社の設立、独立・起業支援制度」など含め詳細な取り組み方針が記載されており、関連サイトへのリンクなども含め非常に豊富で明確な情報がわかりやすく開示されています。

同じく新規項目の【補充原則3-1③】「サステナビリティ、人的資本への取り組み に関しては、同社が推進する様々な施策について、統合報告書やWebサイトでの開示を記載するとともに、中期経営計画にて、人や組織変革の非財務投資(人材、DX 対応等)に対して300億円の資金配分をしている旨の開示を行っております。

なお、双日株式会社様のコーポレート・ガバナンス報告書については、弊社が確認する限り、改訂後初となる改訂版コード対応の報告書となります。
新規追加原則である「中核人材の多様性」「人的資本への投資」も含めまして新コード対応について非常に充実した内容であり、今後の新コード対応報告書の模範となるような、大変参考となる報告書となっております。

2.ソーシャルワイヤー株式会社様

最終更新日:2021年6月18日
ソーシャルワイヤー株式会社  証券コード:3929 (東証マザーズ)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

こちらも新コード対応にて報告書を開示されています。
マザーズ上場企業ということで、原則(補充原則)への対応や開示についての要求は課されておりませんが、多くの原則(補充原則)への対応状況が記載されております。

「中核人材の多様性」「人的資本への投資」については今回の報告書には記載はありませんが、他の原則に対する自主的な開示によって企業としてのコーポレート・ガバナンスに対する取り組み内容が非常によくわかる開示内容となっております。

3.株式会社エヌ・ティ・ティ・データ様

最終更新日:2021年6月18日
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ  証券コード:9613 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

同社につきましては、新コード対応の報告書ではありませんが、【補充原則4-11①】に関して下記の記載があります。

「【補充原則 4-11①】(取締役会の構成、役員の選任方針等) 取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方については、本報告書の「Ⅱ.2.(3)選解任・指名」記載の(取締役候補の選任の方針)をご参照ください。なお、本原則については、2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しています」

【補充原則4-11①】に関しては、今回の改訂で「スキルマトリックス」の開示が開示事項として追加されました。
同社では、本補充原則のみ新コード対応とし、報告書内にて15名の取締役のスキルマトリックスを開示されております。

4.株式会社アイシン様

最終更新日:2021年6月21日→6月25日更新
株式会社アイシン  証券コード:7259 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

(6月21日更新)
報告書の【対象コード】に、「2021年6月の改定後のコードに基づき記載しています。」との記載があります。新規追加の人的資本関連の原則に関する記載はありませんが、新コードにて新たに開示事項項目となった【4-11①】のスキルマトリックスについて、『各取締役のスキルにつきましては、一覧としてまとめ、「アイシングループレポート」及び当社ホームページ(https://www.aisin.com/jp/)のコーポレート・ガバナンスのページにて開示しています。』 として、監査役も含めたスキルマトリックスを開示されています。

(6月25日更新)
21日の更新分に対し、【2-4①】の中核人材の多様性についての記載を追加した報告書を開示されました。報告書内にて定性的な説明があり、KPI等についてはホームページを参照とされています。
(例:「多様な人材の活躍推進」 https://www.aisin.com/jp/sustainability/social/employee/diversity/ )

5.株式会社サンテック様

最終更新日:2021年6月24日
株式会社サンテック  証券コード:1960 (東証二部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

【2-4①】(中核人材多様化)について記載があります。 「現状において、測定可能な管理職への登用目標を示すことは困難」であるとしながらも、「一例として、連結会社における非日本人の割合は40%を超えて」いると数値を使うことや、定性的な記述を充実させることで、投資家に対して丁寧な説明を心掛けているように伺えます。
【3-1③】(人的資本投資)についても具体的な数値はありませんが、「分かりやすく具体的に情報を開示・提供をし」ていくことを表明されています。

6.日本瓦斯株式会社様

最終更新日:2021年6月24日
日本瓦斯株式会社  証券コード:8174 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体としては改訂後対応とはなっておりませんが、各原則個別に対応を表明されています。(【2- 4- ①】【3- 1- ③】については対応)
【2-4①】(中核人材多様化)については「女性役職員の意識調査を実施、これを踏まえて、ESG経営推進委員会で多様性の確保と推進について議論を進め、2021年内に、考え方と測定可能な目標を開示する予定」
【3-1③】(人的資本投資)については「サステナビリティの取組み内容や人的資本等への投資については、統合報告書や2021年5月17日開催の事業・ESG説明会でご説明いたしました」
と開示されています。

7.株式会社いい生活様

最終更新日:2021年6月25日
株式会社いい生活  証券コード:3796 (東証二部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体として対応後CGコードに基づく内容であり、さらに、プライム向けの内容を含んだ対応とされております。
【2-4①】(中核人材多様化)についてはExplain事項として、実施しない理由を記載。【3-1③】についてはComply事項として、決算説明会等の資料にて開示を実施している旨、言及されています。
新CGコードに対するComply & Explain の状況については、自社ホームページにて「2021年6月25日 コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」として非常に詳細な記述を開示されています。

8.株式会社第四北越フィナンシャルグループ

最終更新日:2021年6月25日
株式会社第四北越フィナンシャルグループ 証券コード:7327 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体としては改訂後対応ではありませんが、【4-11①】については改訂後対応項目とし、株主総会招集通知にてスキルマトリックスを開示されています。https://www.dhfg.co.jp/financial/stock/meeting/pdf/20210518_general_meeting_01.pd

9.ヤマハ株式会社

最終更新日:2021年6月25日
ヤマハ株式会社 証券コード:7951 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体として改訂後対応となっております。【2-4①】については報告書内にて定性表記を行い、KPI等はホームページ上の開示を参照とされています。https://www.yamaha.com/ja/csr/human_rights_and_labor_practices/

10.アシードホールディングス株式会社

最終更新日:2021年6月25日
アシードホールディングス株式会社 証券コード:9959 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

全体として改訂後対応です。【2-4①】【3-1③】【4-11①】についてはExplainとし、今後対応されるとの記載がございます。

11.株式会社中京銀行

最終更新日:2021年6月29日
株式会社中京銀行 証券コード:8530 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体としては改定前対応となっておりますが、新コード対応として【2-4①】【4-10①】【4-11①】の開示を行っております。【2-4①】については、人事部内へのダイバーシティ推進室の設置、女性管理職比率の過去3年間の実績値と今後3年間の計画値を具体的な数値で開示されています。【4-11①】に関してましては、監査役も含めた取締役会のスキルマトリックスを同報告書内にて開示しております。

12.扶桑化学工業株式会社

最終更新日:2021年6月30
扶桑化学工業株式会社 証券コード:4368 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体としては改定後対応となっており、【2-4①】について、女性、中途、外国人に対する取り組みがホームページ上で開示されていることが記載されています。

13.大同信号株式会社

最終更新日:2021年6月30
大同信号株式会社 証券コード:6743 (東証二部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体として改訂後対応となっております。【2-4①】については、具体的な数値目標の開示は今後検討とされています。

14.参天製薬株式会社

最終更新日:2021年7月1
参天製薬株式会社 証券コード:4536 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体は改訂前となっていますが、【2-4①】のみ改訂後として開示が行われています。データ詳細についてはホームページ上にて公開とし。「雇用・人材データ 2020」としてダイバーシティやワークライフバランスなど詳細なデータが公開されています。
「参天製薬 雇用・人材データ 2020」 https://www.santen.co.jp/ja/csr/assets/pdf/ehrd2020j.pdf

15.株式会社J-オイルミルズ

最終更新日:2021年7月1日
株式会社J-オイルミルズ 証券コード:2613 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

改訂後対応の報告書。【2-4①】については、女性管理職比率については2017年実績から2030年目標まで数値を用いて説明されています。【3-1③】についても、金額については記載はありませんが、取り組みについて非常に詳細に説明がされております。

16.株式会社加藤製作所

最終更新日:2021年7月2
株式会社加藤製作所 証券コード:6390 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

改訂後対応の報告書。人的資本関連の【2-4①】【3-1③】【4-11①】については実施しない事項として説明がされております。

17.カワセコンピュータサプライ株式会社

最終更新日:2021年7月8
株式会社加藤製作所 証券コード:7851 (東証二部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

改訂後対応の報告書。【2-4①】については実施しない事項とし、説明をされています。

18.株式会社あおぞら銀行

最終更新日:2021年7月13
株式会社あおぞら銀行 証券コード:8304 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

プライム向けの内容も含めて、すべての原則へ対応。【2-4①】については、女性・中途・外国人それぞれの管理職に加え女性の調査役(係長級)の割合も指標とし、それぞれ現状と2023年までの目標を数値にて開示されています。また、人材育成方針や社内環境整備方針についても2020年度の状況として具体的な数値にて説明されており、非常に充実した内容と見受けられます。
なお、あおぞら銀行様におかれましては、企業ホームページにてさらに詳しく人材データを開示されております。(人事戦略、人事制度、キャリア開発、人材育成、働き方改革、従業員データ、女性の活躍等)
「あおぞら銀行 サステナビリティマネジメント Social(社会:従業員の活躍推進)」 https://www.aozorabank.co.jp/corp/sustainability/social2_hr/

19.株式会社丸井グループ

最終更新日:2021年7月19
株式会社丸井グループ 証券コード:8252 (東証一部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

報告書全体として対応後コード対応。特に【2-4①】については非常に充実した開示となっています。同社独自のKPIとして「女性イキイキ指数」を利用。女性管理職比率や男性育休取得率などの一般的な指標に加えて、「女性活躍浸透度」「女性の上位職指向」「男性の家事・育児参画度」「固定化した性別役割分担意識の見直し度数」など経営方針に基づいたオリジナルな指標の開示を実施し、同社の取り組みを社内外に明確に発信されています。また、数値データについては「ESGデータブック」参照とされ、こちらでは詳細な人事関連データが過去5年分開示されています。同社が早くから深い取り組みを続けられてきたことが伺えます。
「丸井グループ ESGデータブック」 https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/pdf/esg/esg2021.pdf

20.児玉化学工業株式会社

最終更新日:2021年8月3
児玉化学工業株式会社 証券コード:4222 (東証二部)
コーポレート・ガバナンス報告書[PDF]

「当社は、株式会社東京証券取引所よりスタンダード市場への一次適合判定を受けており、スタンダード市場向けの内容を含めた改訂後のコードに基づいて記載を行っております。」と、改訂後コード対応となっております。【2-4①】【3-1③】ともにExplain項目とされていますが、2021年度中に具体的な方針を決定し、取り組みを始められるとのことです。

このように、6月11日の施行開始以降、新コードに対応した報告書の開示が順次始まっております。
現在多くの企業様にて開示内容の検討が行われている段階かと思われますが、本年12月の東証への提出期限に向けて、今後続々と対応した報告書が開示されていくものと思われます。
本コラムでは引き続き最新の開示事例をご紹介してまいります。

コーポレートガバナンス・コード改訂対応について、お困りごとがございましたらお気がるにコトラまでご相談ください。サービスについての疑問や質問、
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ISO30414を利用したコーポレートガバナンス・コード対応

コーポレートガバナンス・コードとISO30414の関係性

今回のコード改訂では、新規追加5原則のうち、3原則が人的資本関連となっています。(【2-4①中核人材の多様性】【3-1③人的資本投資】【4-2②人的資本投資への取締役会の監督責任】)

また、全83原則(補充原則)のうち、人的資本関連が従来の5原則から12原則(多様性、人的資本投資、教育、従業員の安全、健康、リーダーの多様性、等)へと増え、コーポレート・ガバナンスにおいて人的資本の重要度が非常に高まっております。

そのような中、人的資本関連の指標測定項目およびその開示方法について、国際標準である「ISO30414」の活用に注目が集まっています。

▼そもそも「ISO30414」とは?という方は下記の記事で詳細に解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:ISO30414が注目される理由とは?企業への影響についても解説

ISO30414活用のメリット

今回のコード改訂の中で、特に人的資本関連においては、定性的な記述として「考え方」の提示、また定量的な記述として「数字」の開示の両方が求められているのが特徴的です。

ISO30414の特徴としては、

1. 「国際標準」としてグローバルに比較可能な唯一のフレームワークである
2. 投資対効果を含め、「企業における人的資本の貢献度の可視化」の考え方で統一されている
3. 11領域58項目の測定項目が定められているが、全ての結果は「数字」で開示される

の3点が挙げられます。

つまり、「ISO30414」は、今回のコード改訂の考え方と極めて親和性の高いものとなっており、「ISO30414」の導入は、コーポレートガバナンス・コード対応へのご支援となるだけでなく、ESG/SDGsをはじめとしたサステナビリティ対応を推進する上でも非常に有効なフレームワークとなっております。

弊社では世界的に注目されている「ISO30414」につき、専門のコンサルタントにより、企業様へ導入に関するコンサルティングをご提供しております。

・幅広い人的資本関連施策について統一的な考え方で推進したい
・サステナビリティに関して一段高いレベルの開示を投資家に行いたい
・コーポレート・ガバナンスにおいて経営方針に沿った人的資本施策を進めたい 等

企業様の様々な課題の支援となる国際標準規格「ISO30414」につきまして、ご興味ございましたら是非当社までお問合せください。

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本記事は、弊社サービスコトラコンサル掲載記事を転載したものです。

「コーポレート・ガバナンス報告書」の開示事例~2021年改訂コーポレートガバナンス・コード対応~

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