──Symbiobe・出光興産・西部石油の3社が設備構築、2026年2月から運転開始──
Symbiobe株式会社、出光興産株式会社、西部石油株式会社の3社は、紅色光合成細菌を活用した二酸化炭素(CO₂)および窒素固定技術の実証設備を、西部石油の山陽小野田事業所内に構築した。年間生産能力は1トン規模で、2026年2月より実証運転を開始する予定だ。環境負荷を低減しながらCO₂と窒素を資源化する新たな生物プロセスの確立を目指す。
温室効果ガス固定プラントに向けた共同プロジェクト
Symbiobeと出光興産は2024年6月、温室効果ガス固定プラントの導入と商用化を目指すパートナーシップを締結している。今回の実証設備は、その取り組みを大きく進展させる重要なステップとなる。将来的には、この技術を用いた商用プラント構築を視野に入れている。
紅色光合成細菌が持つ独自の機能
Symbiobeが開発する紅色光合成細菌は、光合成によりCO₂と大気中の窒素を体内に固定し、独自の代謝により多様な有機化合物を生成する特徴を持つ。化石燃料に頼らない新たな生産プロセスとして期待され、農業用資材や飼料などのバイオ資材生産に応用が可能だ。
環境負荷を抑えた製造プロセスを実現へ
新たに構築された実証設備では、CO₂を価値ある資源として循環利用し、窒素固定も細菌の生物反応のみで行う。これにより、生産プロセスそのものが環境負荷を低減する仕組みとなり、持続可能なものづくりへの貢献が期待されている。
量産化に向けたスケールアップを検証
本ベンチプラントでは、ラボスケールから工業規模へのスケールアップに向けて、培養環境や運転条件の最適化を進める。屋外や工場に近い環境下でデータを蓄積し、CO₂・窒素の資源化効率を最大化する技術を確立することが目標だ。
商用プラント実現に向けた基盤づくり
今回の実証運転で得られる知見は、将来的な商用プラントの設計や運用体制の確立につながる。Symbiobeは、空気中の成分を資源化するバイオテクノロジーを通じ、農業・水産養殖向け資材など新たな製品開発も進めており、環境課題への包括的な解決を目指す。
今後の展望
この取り組みは、温室効果ガス削減と資源循環の両立を図る重要な技術として注目されている。3社は、実証運転の成果を踏まえて商用化に向けた展開を進め、持続可能な社会の実現に寄与していく考えだ。
引用元記事:https://voix.jp/sdgs/sdgs/75495/