ビル&メリンダ・ゲイツ財団が発表した「Goalkeepers 2025 Report」で、5歳未満児の死亡数が21世紀に入って初めて増加する見通しが示された。財団は、限られた国際保健資金を効果が高い分野へ重点投資する必要性を強調している。
◆ 要約(短く)
- 2024年の5歳未満児死亡数は 460万人、今年は 約480万人に増加見込み
- 国際保健支援は 前年比26.9%減
- 資金削減が続くと 2045年までに最大1,600万人の追加死亡の可能性
- プライマリーヘルスケアや予防接種が最も効果的
- ゲイツ氏「限られた資源で最大の成果を。今が転換点」
5歳未満児の死亡数、増加に転じる可能性
同レポートによると、2024年に5歳未満で死亡した子どもは460万人とされ、
2025年はさらに20万人以上増え、約480万人に達する見込みだ。
一方、国際保健への世界的な資金提供は2024年比で 26.9%減少。
報告書は、こうした資金減が成果を後退させ、2045年までに最大1,600万人の子どもが追加で命を落とす可能性があると警告している。
限られた資源を「最も効果の高い領域」へ
レポートは「We Can’t Stop at Almost(“あと少し”では終われない)」をテーマに、
資金が制約される中でも、効果が証明された分野・技術への集中投資が必要だと指摘する。
特に以下を“最も効果的な投資先”として挙げている。
- プライマリーヘルスケアの強化
1人あたり年間100ドル未満の投資で、子どもの死亡原因の最大90%を予防可能とされる - 予防接種・次世代ワクチン
ワクチン投資1ドルに対し54ドルの社会的リターン - データ活用による医療提供の効率化
ビル・ゲイツ氏「財政が厳しくても命は救える」
ゲイツ氏は「本来はより多くの資金を投じたいが、状況が厳しくても大きな結果は出せる」と述べ、
国際保健における今が重要な転換点であると強調。
優先順位を明確にし、効果の高い施策を選択して投資すべきだと訴えた。
現場の声と成功例も紹介
レポートには、アフリカ・アジアで保健体制を支えるリーダーの声も収録されている。
- ナイジェリア・ゴンベ州知事
「必要なのは完璧な条件ではなく、明確な目標とそれを貫く勇気」 - ケニアのコミュニティヘルスワーカー
「支援がなくなっても、地域のニーズは消えない」
また、エイズ・結核・マラリアと闘うグローバルファンドが7,000万の命を救い、主要感染症の死亡を60%以上削減した事例を紹介し、持続的投資の重要性を改めて示している。
次世代イノベーションへの期待
次世代ワクチンや新たなマラリア対策ツールに対する投資は、
2045年までに数百万人の命を救う可能性があると分析されている。
行動を促す財団
ゲイツ氏は「すべての子どもが出生地に関わらず健やかに育つべきだ」とし、
各国政府や市民に対して資金維持・寄付の強化を呼びかけている。
引用元記事:https://voix.jp/sdgs/sdgs/75245/