株式会社Shizen Connect(本社:東京都文京区)は、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP)と共同で、家庭用蓄電池や電気自動車(EV)などの低圧リソースを活用した容量市場向け制御のトライアルを、2025年冬より開始すると発表した。
本取り組みは、2050年のカーボンニュートラル実現を見据えた再生可能エネルギー導入拡大と、電力系統の安定化を目的としたものであり、2026年度からの容量市場への本格的な参加を目指す。
トライアルの背景と目的
再生可能エネルギーの比率が高まる中、電力需給の変動に対応するための分散型エネルギーリソース(DER)活用が急務となっている。特に、家庭用蓄電池やEVを束ねて制御する「低圧VPP(仮想発電所)」は、需給調整力の新たな供給源として期待が高まっている。
一方で、低圧VPP事業の収益化や運用面での実装には課題も多く、今回のトライアルは、これらの課題を解決し、容量市場での実運用を見据えた技術検証の場として位置付けられている。
これまでの実証と今回の取り組み
Shizen Connectは、これまで複数の技術実証を通じて家庭用蓄電池の遠隔制御やアグリゲーション技術の検証を進めてきた。2025年1月には容量市場参入を想定した共同実証を実施し、制御技術の有効性を確認している。
今回のトライアルでは、2026年度以降の市場参加を視野に、運用上の課題や制御ロジックの最適化を図る。
トライアルの役割分担
本トライアルでは、東京電力EPがアグリゲーターとして容量市場発動指令に相当する模擬指令を発出。Shizen Connectは、自社のエネルギー管理システム「Shizen Connect」を用いてその指令に基づく家庭用蓄電池の制御を行う。
これにより、実際の市場運用を想定した制御精度やレスポンス、通信面での課題を検証する。
今後の展望
Shizen Connectは2023年5月より「機器制御型DR支援サービス」を展開しており、同サービスを導入する小売電気事業者の市場シェアは合計35%に達している。今回の共同トライアルを通じて得られた知見をもとに、サービスの高度化と参画事業者の拡大を進めていく方針だ。
同社は「脱炭素化社会の実現に向けて、パートナー企業との協働を深め、再エネ活用と需給調整の最適化に貢献していく」としている。
結び
Shizen Connectと東京電力EPによる今回の共同トライアルは、低圧リソースを活用した新たなエネルギー制御モデルの確立に向けた重要な一歩である。再生可能エネルギーが主力電源化していく中で、こうした分散型リソースの有効活用が、持続可能な電力システムの構築に大きく寄与することが期待される。
引用元記事:https://voix.jp/sdgs/sdgs/72501/