―サステナ経営塾で自然資本戦略とリスク特定の取り組みを紹介―
オルタナは8月20日、サステナ経営塾21期下期第5回を開催しました。第4講には、NECの岡野豊・サプライチェーンサステナビリティ経営統括部事業化推進グループディレクター 兼 カーボンニュートラルビジネス推進PMOグループシニアプロフェッショナルが登壇。NECが取り組む自然資本戦略や、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)レポートの作成経験について語りました。
岡野ディレクターは、NECが2023年に国内IT企業として初めて、かつグローバルでも先駆けてTNFDレポートを発行した背景を説明。「IT企業として、画像認識技術や通信、人工衛星、AIを活用することで、ビジネスと自然の関わりを“見える化”できる」と述べ、投資家からも高い評価を得たと報告しました。
レポート作成においては、サステナビリティ関連部署に限定せず、社内の有志メンバーを手挙げで募集。結果として、2023年の第一版では25部署から80人、2024年の第二版では30部署から100人が参加しました。この取り組みを可能にしたのは、社内SNSの活用です。岡野氏は、「環境情報を交換するサイトを作り、約1,800人の社員・役員が参加している」と説明しました。
集まった有志メンバーは、海底ケーブル、データセンター、工場などの環境アセスメント影響を評価し、開示。AIの活用により作業時間の大幅短縮が可能となり、現場に足を運ぶ頻度も増え、従来は見落としていたリスクの特定につながったと語りました。
岡野ディレクターは今回の講義を通じて、IT技術と社員の自主的な参加による自然資本戦略の推進が、実務におけるリスク管理やサステナビリティ対応に大きく寄与することを示しました。