GRI、繊維・アパレル業界向け新サステナビリティ報告基準案を公表

〜複雑なバリューチェーンの透明性向上と責任ある経営強化を目指す〜

2025年7月15日、サステナビリティ報告の国際基準を策定するグローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)は、繊維・アパレル業界を対象とした新たなセクター基準案を発表し、国際的な意見募集を開始した。意見受付は9月28日まで行われる。

この基準案は、衣類、靴、ジュエリーなどの製造・販売に関わるすべての組織を対象とし、サプライチェーン全体にわたる環境・社会・経済的影響の可視化と、責任ある経営の促進を目的としている。

背景には、世界各地に分散し複雑化したバリューチェーンにおける追跡可能性と透明性の不足がある。これにより、水質汚染や過重労働、ジェンダー差別といった多様な課題の把握と報告が困難となっている。

GRIのプロジェクト責任者ピーター・ドーキンス氏は、「繊維・アパレル業界の規模と複雑性は、人や環境に重大なリスクをもたらしている。本基準は、その影響を正確に報告し、持続可能で責任あるビジネス慣行の定着を後押しする」とコメントしている。

基準案は各国の商業的・規制的要件の違いに対応可能な共通指標の整備を目指し、人権を含む幅広い影響に関する報告を促進する。

本プロジェクトは、GRIの独立機関であるグローバル・サステナビリティ基準委員会(GSSB)の監督のもと、労働団体、市民社会、投資家など21名の作業部会メンバーにより進められてきた。

なお、繊維・アパレル業界は年間数百万トンの廃棄物や大量の温室効果ガス排出、水や化学物質の使用、劣悪な労働環境などの課題を抱えており、新基準はこうした業界特有の問題に焦点を当て、企業の説明責任強化と報告の比較可能性向上を図る狙いがある。

引用元記事:https://esgjournaljapan.com/world-news/46812