~AI導入により自然関連リスク評価の時間92%削減、地域対話も活性化~
NECは、企業活動が自然に与えるリスクや機会を報告する「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」レポートの作成にAIを活用しています。2023年・2024年の作成経験を踏まえ、レポート作成を5つの工程に分け、それぞれに専門知識を組み込んだAIエージェントを開発。国際ガイダンスの理解に要する時間を92%削減し、担当者はAIと対話しながら効率的に作業を進めています。
この取り組みは、2024年10~11月に開催された生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)のサイドイベントでも紹介されました。AI導入により机上作業が減少した分、岡野豊ディレクターは「国内外の工場やデータセンターを訪問し、現地担当者や地域のステークホルダーと直接対話する機会が増えた」と語ります。蘇州の工場訪問では、水資源の管理や生態系への影響を深掘りし、リスク評価の精度向上と地域との信頼関係構築に成功しました。
今後はサステナビリティ基準委員会(SSBJ)による基準準拠の開示やESG格付け機関への対応にもAIを活用予定です。
一方で、情報開示におけるAI活用の拡大に伴い、事業展開やリスク分析の記述が似通い、独自性が薄れる懸念も指摘されています。CDPの回答自動生成サービスも増加しており、担当者は「企業固有の表現や戦略との整合性を保つことが重要」としています。
ESG情報開示は企業価値向上に不可欠なプロセスであり、AIによって生まれた時間を活用し、財務と非財務の価値創造ストーリーを検証し、経営トップ自身が言葉で語ることが求められています。
引用元記事:https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/070100518/