ISS STOXX、ソブリン債向けの新たな気候影響レポートを提供開始

――投資家のリスク評価と情報開示対応を支援

金融情報サービス大手のISS STOXXは7月10日、サステナブル投資事業を担うISSサステナビリティ・ソリューションズを通じて、新たに**「ソブリン気候影響レポート」**の提供を開始したと発表した。これは、これまで企業向けに展開してきた気候影響レポートを、国や地方自治体が発行するソブリン債に特化させたもので、投資家による気候変動関連のリスク・機会評価や情報開示の高度化を後押しする。


実用性と信頼性を備えた180以上の気候指標を網羅

新レポートは、180項目を超える現在および将来予測の気候関連指標を収録し、高い精度・透明性・包括的データを特長とする。機関投資家、銀行、保険会社などの金融機関が、ソブリン債投資における気候リスク評価、戦略策定、インパクト投資など、多用途で活用可能な実践的ツールとして設計された。


国際的な開示基準に準拠、PCAF・IFRS S2・TCFDなどに対応

同レポートは、金融機関の炭素会計基準であるPCAFの最新手法に準拠しており、以下の主要な気候関連開示基準・規制にも対応する:

  • IFRS財団のISSBによるIFRS S2
  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
  • 欧州のSFDR(サステナブルファイナンス開示規則)およびCSRD(企業サステナビリティ報告指令)
  • 英国、オーストラリア、ニュージーランドの国内開示基準

これにより、投資家は複雑化する情報開示要求への効率的な対応が可能となる。


排出量・移行リスク・ネットゼロ整合性を多角的に分析

レポートには、以下の気候関連情報が含まれる:

  • 土地利用変化・林業(LULUCF)を含む国別の炭素排出量分析
  • 各国のエネルギーミックスと化石燃料依存度評価
  • IEAやNGFSのシナリオを用いた2050年ネットゼロ目標との整合性評価

これらの分析結果は、ポートフォリオごとの**「予想温度上昇(Implied Temperature Rise)」**などの指標として提示され、投資判断やリスク戦略に直接活用可能となっている。


さらなる気候データ革新へ

ISS STOXXでサステナビリティ事業を統括するティル・ユング氏は次のように述べた。
「私たちは気候データと分析のグローバルリーダーとして、今回の包括的なソリューションを提供できることを誇りに思う。2025年にはさらなる革新的なサービスも予定しており、今後も市場の進化に寄与していく」。

引用元記事:https://esgjournaljapan.com/world-news/46728