キャピタランド、独自の「RoS」モデルで脱炭素投資の財務効果を可視化

2030年ネットゼロに向けた気候移行計画を強化

2025年7月7日、キャピタランド・インベストメント(CLI)は第16回「グローバル・サステナビリティ・レポート」を発表し、2030年のネットゼロ達成を目指す気候移行計画を更新しました。低炭素設計やエネルギー効率強化、再生可能エネルギーの導入拡大を柱に、環境負荷の削減と財務合理性の両立を目指しています。

報告によると、CLIのグローバルポートフォリオにおける再生可能エネルギーの比率は2023年の5.2%から2024年に7.3%へと上昇しました。また、シンガポールと中国の新規および更新賃貸契約でのグリーンリースは前年比17%増加しています。2019年以降、省エネ改修によりエネルギー原単位は11%削減。保有物件の63%がグリーンビル認証を取得し、そのうち51%はLEEDゴールド相当以上の認証を受けています。

特に注目されるのは、CLIが独自に開発した「Return on Sustainability(RoS)」フレームワークです。RoSは、グリーン投資の財務効果を8つの要素(投資額、光熱費削減、炭素コスト低減、賃料プレミアム、賃貸期間、金利差、保険料削減、資産価値向上)で定量的に評価します。アジア太平洋地域の商業施設データを基に設計され、ROI評価や資本配分の指標として活用可能です。大規模ポートフォリオ向けに損益分岐点分析モデルも提供しています。

さらに同日、CLIが主催する「CapitaLand Sustainability X Challenge(CSXC)」の第4回ファイナリスト10組が発表されました。提案された技術にはAIを活用した省エネ、低炭素建材、水力エネルギー回収技術などが含まれます。本コンペティションには世界90地域から900件を超える応募があり、7月10日にデモデーで最終審査が行われる予定です。

CLIはこれまでCSXCを通じて都市型気候テックの革新支援と現場実装に注力し、過去3回で総額200万シンガポールドル以上を支援。今回の第4回には100万ドル超を配分し、これまでに46施設で30の技術を実証しています。政府機関や企業(シンガポール建築建設庁、GIC、FedExなど)とも連携し、さらなる気候イノベーションの推進を目指しています。

引用元記事:https://esgjournaljapan.com/world-news/46673