モーニングスターが北米、欧州、アジア太平洋地域の25のアセットオーナー(年金基金や政府系ファンドなど)を対象に実施した最新調査によると、ESG(環境・社会・ガバナンス)を一体的な戦略として捉えるのではなく、それぞれを独立した要素として扱う傾向が鮮明になっている。
先週発表された調査報告書では、「アセットオーナーの関心は『ESG』という包括的なラベルそのものではなく、それぞれの要素をグローバルポートフォリオにどう組み込むかに向かっている」と指摘。ESGの中でも、特に“E(環境)”に対する注目が高く、多くの投資家が気候変動を「重要な投資ファクター」と位置づけている。
オーストラリアの年金基金関係者は、「気候変動リスクへの対応は、ポートフォリオ全体における“報われないリスク”をどう排除するか、という視点で行っている」と語り、リスク管理ツールとしての気候戦略を強調した。
また、ピクテ・アセット・マネジメントのクリーンエネルギー・環境スペシャリスト、ジェニファー・ボスカルダン・チン氏は、「企業の資本支出のどの程度がグリーンプロジェクトに向けられているかを常に確認しており、それがサステナブル投資の判断材料になる」と話す。
一方で、調査ではESGという言葉に対する“過度の単純化”や“マーケティング色の強さ”への懸念も多く寄せられた。「グリーンウォッシング」のリスクを指摘する声もあり、ESGよりも「サステナブル投資」や「責任投資」といった用語の方が適切だと考える投資家が増えているという。
アース・エクイティー・アドバイザーズのサステナブル投資部門ディレクター、ピーター・クルル氏は、「ESGはしばしば誤解されるが、投資において本質的にはリスク管理ツールに過ぎない」と述べ、実務的な活用への理解が必要だと訴えた。
引用元記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/1019c87169a22669c685ec478ec0b6869ed7cf40