バーゼル委員会、気候関連金融リスクの自主開示枠組みを発表

~金融機関の透明性向上とシステミックリスク抑制へ、国際協調型の開示指針~

■ 背景と目的

  • 2024年6月13日、**バーゼル銀行監督委員会(BCBS)**が、気候変動による金融リスクに関する情報開示枠組みを発表。
  • 目的は、金融システムに対する気候変動の影響を可視化し、金融の安定を確保すること
  • 世界各国・地域の監督当局に対して、枠組みの導入を奨励(義務ではなく自主的な位置づけ)。

■ 枠組みの特徴

  • 銀行が開示すべき情報には、以下が含まれる:
    • 定性的情報:気候リスクのガバナンス、戦略、リスク管理の方針など。
    • 定量的情報:炭素排出量、エクスポージャー、ストレステスト結果など。
  • 柔軟性を重視:データの正確性や整合性が未整備な点を考慮し、画一的な開示は求めない。
  • ユーザー責任の明確化:投資家などは、複数の情報を組み合わせて銀行のリスクを評価する必要あり。

■ 今後の展開

  • 国際的な大手銀行の開示実務や、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)など他基準との整合性も考慮しつつ、随時見直しへ
  • 気候リスクが金融の「マクロプルーデンス(健全性)」に与える影響への国際的な対応強化の一環と位置づけ。

【解説】“任意”だが“軽視できない”新潮流

  • 本枠組みは法的拘束力を伴わないが、バーゼル委員会の枠組みは国際的な金融規制の実務に大きな影響力を持つ
  • 各国当局による段階的導入やパイロット適用が見込まれ、今後は金融機関の「実質的な開示競争」が進展する可能性。
  • 日本では金融庁が進めるインパクトファイナンスやサステナブル開示指針と連動する形で、国内金融機関への影響も。

【企業・金融機関にとっての示唆】

  • 気候リスクの定量化とガバナンス整備が競争優位性に
  • 任意枠組みであっても市場からの“圧力”は高まる
  • ❍ 他のグローバル開示基準(ISSB・TCFD・EU CSRD)との整合性がカギ
  • ❍ ストレステストやスコープ3排出量の対応準備が急務に

引用元記事:https://esgjournaljapan.com/world-news/46269