~「ESG離れ」のなかで見える長期戦略の真価~
■ ESGを取り巻く逆風
- 米国:化石燃料回帰
- トランプ政権の復活によりパリ協定からの離脱など、気候変動政策が大きく転換。
- 米大手企業もESG戦略を見直す動き。
- 欧州:再エネインフラの限界露呈
- 急増する再生可能エネルギーに送配電網が追いつかず、スペインでは2025年4月に大規模停電が発生。
- 電力インフラ整備には巨額の投資が必要で、再エネ推進にブレーキ。
- 右派政党が電気代高騰を背景に支持を拡大。
- 中国:脱炭素覇権を狙う存在感
- 巨大な国内市場と資源を背景に、再エネ・水素・蓄電池で競争力を急速に拡大。
■ 日本企業の戦略的対応
● 水素エネルギーでの勝負に出るトヨタ
- トヨタは水素利用に本腰。水素価格の低減がFCV普及の鍵と認識。
- 実証都市「ウーブン・シティ」で再エネ由来水素をパイプライン供給、発電・熱源に活用。
- 千代田化工建設と提携し、燃料電池技術を応用した大規模水電解装置事業に参入。
→ 国内外の水素製造・供給を視野に、2030年に3GW規模の水素ビジネスを目指す。
● 関電・岩谷は採算性から撤退
- 一方で、豪州でのグリーン水素製造事業は採算が合わず撤退へ。
→ 脱炭素エネルギーの実現には、技術力と同時に収益性の確保が不可欠。
■ 長期視点の経営資源集中が問われる時代へ
- カーボンニュートラル目標(2050年)に変更なし。
- 「逆風の今こそ、長期視点での投資判断が企業の競争優位を左右する」
- 脱炭素技術・インフラ・価格競争など、複合的な視点での舵取りが求められている。
※本記事は『日経ESG』(2025年7月号)掲載の特集「逆風の今こそ勝負の時 脱炭素エネルギーで抜きん出る」の要点を基に構成しています。
引用元記事:https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00008/060400040/