新型コロナウイルスの感染拡大によって、「ニューノーマル(新状態)」が生じ、私たちの仕事や生活環境は大きく変化している。企業にとっては、変化にともなう対応が重要な取り組みとなってきているのではないだろうか。その一つに災害対策があげられる。被災者の感染防止策と防災対策の両立が課題となっており、国連防災機関(UNDRR)では、感染拡大に対応した防災戦略のガイドラインを公表する調整が進んでいるとの記事が目にとまった。
日本は世界的にみても自然災害が多い。気象庁によると、「1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数」は、統計を開始した1901年以降の119年間において、最初の30年と直近の30年とで、約1.7倍に増加。また、「全国(アメダス)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数」は、最近10年間(2010~2019年)の平均年間発生回数(約327回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985 年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1.4倍に増加しており、長期的にみても雨の降り方は大きく変化をしている。
また、内閣府「令和2年版 防災白書」によると、1日の降水量が200ミリ以上となる日数や1時間降水量50ミリ以上の短時間強雨の発生頻度は、全国平均で今世紀末には20世紀末の2倍以上になると予測されており、大雨による災害対策は私たちにとって重要な取り組みの一つとなっていることを改めて認識させられる。
自治体から発令される避難情報は、住民がとるべき行動を理解しやすいよう、防災情報をわかりやすく提供している。すなわち「警戒レベル3」で避難に時間のかかる方は避難開始、「警戒レベル4」で災害の危険があるところにいる方は全員避難、そして「警戒レベル5」はすでに災害が発生している状況であり、屋外移動は危険かもしれないので、より安全な上階や山から離れた側の部屋等への避難など、命を守るための最善の行動をとるというものである。しかし上記白書によると警戒レベル情報の認知度について、「理解している(例:どの警戒レベルの時に自分が避難するかわかっている)」という人は17.5%にとどまっていた。
正確な情報の「理解」や「収集」も、「対策」の一つであり、大切な事前防災であると、改めて学ぶ機会となった。
現在、令和2年7月豪雨による甚大な被害が広範囲で発生しており、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に対して心よりお見舞いを申し上げたい。
この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
「事前防災」の大切さ