日立製作所はこのほど、新たなサステナビリティ戦略「PLEDGES(プレッジズ)」を発表した。ダイバーシティ、脱炭素、サーキュラーエコノミーなどを柱とし、グローバルでの持続可能な成長を見据えた7つの重点領域で構成される。
この戦略は、2025年度から2027年度までを対象とした新中期経営計画「Inspire 2027」に対応するもので、売上高の年平均成長率7~9%、Adjusted EBITA率13~15%、ROIC12~13%の達成を目標に掲げている。2024年度の売上高は前年度比14%増の9兆7,833億円だった。
戦略名「PLEDGES」に込めた意味と狙い
日立が戦略に名称を付けるのは今回が初めて。同社は「PLEDGES」を通じて社内外の共通認識を高め、社員の巻き込みや対外発信の強化を図る。これは、ユニリーバの「サステナブル・リビング・プラン」や三菱ケミカルHDの「KAITEKI」と同様、戦略をブランド化し求心力を持たせる狙いがある。
PLEDGESは、以下の7つの柱で構成される(各頭文字をとって命名)。
- Planet(プラネット):GX(グリーントランスフォーメーション)を軸とし、脱炭素・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブの推進。2027年度までに事業所のGHG排出量を2019年度比75%削減するKPIを設定。
- Leadership(リーダーシップ)・Empowerment(エンパワーメント)・Diverse perspectives(ダイバース・パースペクティブズ):次世代リーダーの育成、組織風土改革、多様性の尊重を通じたイノベーション創出。
- Governance(ガバナンス):グローバル水準のリスク管理と倫理的行動の徹底。
- Engagement(エンゲージメント):サプライチェーン全体でのサステナブル調達と、パートナー企業との協創による持続可能なバリューチェーンの構築。
- Sustainability for all:上記6領域の取り組みを通じて、社会に対する価値提供と責任ある企業活動を推進。
GX市場150兆円を見据えた成長戦略
「プラネット」領域では、政府が今後10年間で官民合わせて150兆円を投資するGX分野を重点市場と捉え、グローバルリーダーを目指す。環境ビジョンのもと、脱炭素化や循環型社会への移行を事業機会として捉え、Lumadaなどの社会イノベーション事業と統合的に推進する。
国際基準に準拠した策定プロセス
PLEDGESは、欧州のサステナ情報開示規制など国際的なフレームワークを参考に、日立グループ全体でリスク・機会・社会的影響の観点から重要課題を抽出。ステークホルダーや経営幹部との対話を重ねて策定された。
グローバル28万人の社員のうち約6割を外国籍が占める同社にとって、共通言語としての戦略名称は社内浸透においても重要な意味を持つ。今後はPLEDGESを軸に、事業とサステナビリティの統合をより一層加速させていく構えだ。
引用元記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/1dc4eb6c8e4211a7b1224486e36f0d9e26a8f25b