英国、サステナビリティ報告基準の導入加速 企業コスト削減と国際整合性を両立へ

英国政府は2025年6月25日、UKサステナビリティ報告基準(UK Sustainability Reporting Standards:UK SRS)に関する草案について、一般からの意見募集(パブリック・コンサルテーション)を開始した。協議期間は9月17日まで。対象となるのは、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表した「IFRS S1:サステナビリティ関連財務情報の開示一般要件」および「IFRS S2:気候関連開示」に準拠したUK版基準「UK SRS S1・S2」の草案である。

今回の協議は、投資家にとって有用なサステナビリティ関連情報の提供を通じ、持続可能かつ競争力のある経済成長の実現を目的としている。

草案には、企業の報告負担に配慮した6件の主な修正提案が盛り込まれている。主な内容は以下の通り:

  • 移行計画開示に対する義務適用を2年間猶予
  • 業種分類基準としてのGICSコードの使用義務を撤廃し、既存の分類方法も選択可能に
  • SASBスタンダードの参照要件を「shall」から「may」へ変更し、柔軟性を確保
  • 移行救済措置の発効時期を法的義務の発効に連動させ、明確化
  • 報告の効果発生日を削除し、自主的な早期適用を可能とする仕組みを導入

このほか、報告準備に伴うコストやメリット、補足ガイダンスの必要性などについて、企業関係者から幅広く意見を募る。特に、中小企業への影響や法的リスクといった実務面の論点も重視されている。

政府は2025年秋をめどに最終基準の公表を予定しており、基準の法制化および適用開始時期については、協議の結果を踏まえたうえで今後決定する方針だ。国際基準との整合性維持に加え、英国内の報告制度の簡素化とともに、事業者の規制対応コストを25%削減するという政策目標の達成も視野に入れている。

引用元記事:https://esgjournaljapan.com/world-news/46451