英調査会社ユーロモニター・インターナショナル(本社:ロンドン)はこのほど、サステナビリティ配慮型商品(以下、サステナ商品)の小売市場に関する調査結果を公表した。それによると、主要25カ国においてサステナ商品の年平均成長率(CAGR)は非サステナ商品を上回っており、とりわけ美容関連製品では「成分」や「製造過程」に注目する消費者が増加していることが明らかになった。
2024年時点でのサステナ商品の小売売上高は8,604億米ドル(約125兆円)に達し、2020年からの年平均成長率は7.9%と、非サステナ商品の同成長率を約2ポイント上回った。日本市場では同年の売上高が120億米ドル(約1.7兆円)、CAGRは3.7%で、こちらも非サステナ商品に比べ1.1ポイント高い水準となっている。
対象となったサステナ商品には、「動物実験なし(クルエルティフリー)」や「化学成分不使用」「リサイクル資源活用」「フェアトレード認証取得品」などが含まれる。美容・パーソナルケア分野では「ナチュラル」「ヴィーガン」などの表示が付いた製品が増加しており、2024年の同分野の売上高は1,210億米ドル(約17兆円)を記録した。
一方でユーロモニターは、2023年前後には企業側が「グリーンウォッシング」への批判を避けるため、サステナビリティ訴求を控える「グリーンハッシング」の傾向もあったと指摘。しかし、2024年にはオンライン流通におけるサステナ商品の比率が上昇し、「サステナビリティ訴求の回復傾向」が見られると分析する。
同社のホルヘ・ズニガ シニア・サステナビリティ・インサイト・コンサルタントは、「サステナビリティは商品価値の向上だけでなく、新たな収益機会の創出にもつながる」と述べた上で、企業が取り組みを伝える際には以下の3点に留意すべきと強調した。
- ブランドや中核事業との整合性:訴求する内容が企業のアイデンティティと一致しているかどうかが信頼性に直結する。
- 実質的かつ影響力のある改善点の提示:国や業界ごとに異なる優先課題に対応するメッセージが重要。
- グリーンウォッシングへの対応:訴求内容には明確な根拠を持ち、信頼性ある情報発信が不可欠。
ユーロモニターによれば、今後サステナ商品の競争力を高める鍵は、「持続可能性」と「品質・性能」の両立にあるとしている。