ユニセフとILO、児童労働の最新報告書を発表——約1億3800万人が今なお従事、有害労働は5400万人

国連児童基金(ユニセフ)と国際労働機関(ILO)は、6月12日の「児童労働反対世界デー」に先立ち、児童労働の現状をまとめた共同報告書を公表した。2024年時点で、世界の5〜17歳の子ども約1億3760万人(全体の7.8%)が児童労働に従事しており、そのうち約5400万人は健康や安全を脅かす有害な労働環境に置かれているという。

SDGsの達成期限迫るも、撲滅には程遠い現状

持続可能な開発目標(SDGs)では、目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット8.7において、「2025年までにすべての形態の児童労働を撲滅する」ことが掲げられている。しかし、両機関は今回の報告書で「目標の達成は困難」との見解を示している。

減少傾向も、アフリカでは依然深刻な課題

児童労働の数は2020年の約1億6000万人から、4年間で2000万人以上減少した。最も多いのは農業分野で全体の61%を占め、次いでサービス業(27%)、工業(13%)が続く。

地域別では、アジア太平洋地域で児童労働に従事する割合が2020年の5.6%から2024年には3.1%と大幅に減少。一方で、サハラ以南のアフリカは割合こそ23.9%から21.5%に改善したものの、人数は約8660万人とほぼ横ばいで、全体の3分の2を占めている。

教育と社会保障の強化が根本的解決に不可欠

報告書は、児童労働根絶には「無償で質の高い教育の提供」「国際基準に準じた法的保護」「包括的な社会的保護制度の整備」が重要だと指摘。ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、「世界的な資金削減により、これまでの前進が後退するリスクがある」と警鐘を鳴らし、「子どもたちが働くのではなく、学び・遊ぶ権利を守るために取り組みを加速すべき」と強調した。

またユニセフとILOは、児童労働を今後5年で根絶するには、現行の削減ペースを11倍に速める必要があると試算している。

引用元記事:https://www.asahi.com/sdgs/article/15859014