人材育成で上司に求められる『3K』

「3K」と聞けば、どのような意味を想像するだろうか。あらゆる場面で通称や略称として使われており、想像するものは人によってさまざまだろう。ここでは、人材の育成や定着を目指す意味で使われている「3K」をご紹介したい。


ここで言う「3K」とは、3項目の頭文字の総称を指す。それぞれの正体を明かすと、
【 期待する → 機会を与える → 鍛える 】というサイクルのことである。


そう聞けば、おおよそは納得するだろう。もう既に実践しているという声もありそうだ。部下がスキルを磨いていく以外に、精神面を充実させる意味においても、この「3K」が大切になる。一見、至極当然のように感じるかもしれないが、上司に求められるこのサイクルは意外に抜け落ちてしまっていることもありうる。怖いのは、抜け落ちてもなかなか気づくことができないことだ。精神的な充実は数値などでは測れず、気づかぬうちに部下は意欲を失い、成績の低下や職場環境の悪化、さらには退職を招きかねない。


その怖さはさまざまな角度から表現できるが、その一つ「アンコンシャス・バイアス」は、「3K」に大きく関わる。アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の偏見」と訳される。事例として最も多く取り上げられるのは、女性社員への接し方だろう。上司の自覚がない部分で女性に対して固定観念を持ち、「いつかライフイベントで退職してしまうから」と考え「3K」の一つ目である【期待する】から遠ざかり、「女性は家庭を優先するから、大事な仕事は任さないでおこう」と考え【機会を与える】が失われていく。そして、【鍛える】だけが独り歩きしてしまい、部下にとってはただ厳しい環境となり、仕事にやりがいや面白さを持たなくなってしまう。また、例にあげた女性に対するアンコンシャス・バイアスは、女性活躍推進の阻害要因であり、一種のステレオタイプ脅威だと指摘する意見もある。


「3K」のなかで特に重要となるものは、部下への【期待する】である。本コラムでは女性へのアンコンシャス・バイアスを一例としてあげたが、性別や年齢を問わず、すべての部下に対して当てはまる。例えば盲点となるのは、勤務歴が比較的長い社員。自社の戦力として育って以降、【鍛える】一辺倒になってはいないだろうか。もちろん年齢を重ね経験を積むにつれて責任も厳しさも増すが、そのようななかでも部下が働きがいを持てるように上司が意識をすることが肝要だろう。何より、部下への気遣いや声掛けなど、普段の何気ない行動こそ、精神的充実の礎だ。人材の育成や定着には、日ごろの些細な行動から始まる。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
人材育成で上司に求められる『3K』

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帝国データバンク

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株式会社帝国データバンク(ていこくデータバンク、英: Teikoku Databank, Ltd.、略称: TDB)は、企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社である。1900年3月3日に後藤武夫が帝国興信社として創業、その後法人化し商号を帝国興信所とした。1981年に社名を現在の帝国データバンクに変更。それと同時に従来請け負ってきた結婚調査・雇用調査等の個人調査を廃し、業務を企業信用調査に特化した。本社は東京都港区。