新型コロナショック下における新政権の誕生、経済政策の行方は?

9月29日、自由民主党の総裁選挙で岸田文雄氏が新総裁に選出された。10月4日に召集される臨時国会で衆参両院による首相指名選挙が行われ、同日中に岸田内閣が発足する見通しである。


今回の自民党の総裁選は、事実上、次の首相を決める選挙でもあったが、他の3候補を含め多くの政策論争が行われた選挙であったと言えるのではないだろうか。そこで、ここでは岸田氏の経済政策に注目してみたい。総裁選で岸田氏は「成長と分配の好循環」を経済政策の柱に掲げていた。


同氏の【岸田文雄 政策集】には、新しい日本型資本主義を創り新自由主義からの転換を掲げている。そのうえで、「『国民を幸福にする成長戦略』と『令和版所得倍増のための分配政策』を進めます」と述べられている。


そして、「規制緩和・構造改革などの新自由主義的政策は確かに我が国経済の体質強化と成長をもたらしました。他方で、富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断も生んできました。成長のみ、規制緩和・構造改革のみでは現実の幸せには繋がっていきません」として、そのために「今こそ成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の構築が必要」と主張している。


総裁選では特に所得再分配による格差の是正を強く訴えていた。子育て世帯や非正規雇用者の支援を重視し、数十兆円規模の経済対策を行うことも打ち出している。また「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換する」という主張も政策の重要な柱である。


「令和版所得倍増」と銘打たれた、分配による分厚い中間層の再構築を通じて消費者の購買力向上を図ることは、日本経済の安定した成長を取り戻すことにつながる。中間層の厚みを増すことは、持続的な経済成長にとって基本的に正しい方向性であろう。そして、その方法として金融所得課税などで分配するということも、原則としては問題ないと言える。


しかし、大切なのはこれらをいかに実現するか、である。具体的な政策の中身も今後肉付けされていくことになろう。新型コロナショック下において経済活性化と感染拡大防止は慎重にバランスを取りながら進めていくことが求められる。きわめて重要なタイミングで就任する国のリーダーに大きな期待を寄せつつ、私個人としては自らの果たすべき役割を着実に実行していくことが必要なことだと改めて感じた次第である。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
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帝国データバンク

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株式会社帝国データバンク(ていこくデータバンク、英: Teikoku Databank, Ltd.、略称: TDB)は、企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社である。1900年3月3日に後藤武夫が帝国興信社として創業、その後法人化し商号を帝国興信所とした。1981年に社名を現在の帝国データバンクに変更。それと同時に従来請け負ってきた結婚調査・雇用調査等の個人調査を廃し、業務を企業信用調査に特化した。本社は東京都港区。